第4回AMICセミナー(泗研懇分析分科会オープンセミナー)
開催報告

内容

(1)開会挨拶  

    ・JSR株式会社 四日市研究センター 開発管理室長 橋口 裕一


(2)講演:「DOSYを用いた高分子化合物分析の実用化を目指して」

    ・第一工業製薬株式会社 分析技術研究グループ 専門課長 松本 恒平 氏

【概要】Diffusion-Ordered 2D NMR Spectroscopy(DOSY)は縦軸に自己拡散係数、横軸に NMR化学シフトをとる2次元スペクトルが得られる測定法である。自己拡散係数とは分子やイオンが移動する速さを表す物理定数で、一般的に分子量が大きいほど小さくなる。同一化合物のNMR化学シフトは横一列に並び、自己拡散係数が異なる化合物は縦軸方向に分離して観測されるので、複数の分子種が混合したサンプルを、それぞれの分子の自己拡散係数の違いで分離してNMR化学シフトの情報が得られることが期待される。発表では1H DOSYの実用化を目的として構造既知の高分子化合物を用いた検討結果を報告した。

(3)講演:「熱分解GC/MS新規イオン化技術の高分子構造解析への応用」

    ・日本ウォーターズ株式会社 マーケットディベロップメント シニアマネージャ 江崎 達哉 氏

【概要】合成高分子の化学構造解析に対する熱分解GC/MSの新規イオン化法としてAPGCイオン化法を紹介した。APGCイオン化法は、熱分解成分の分子イオン観測が容易となり、高分解能である飛行時間型質量分析計を組み合わせることで、広い質量範囲を、分子イオンとそのフラグメントイオンを1回の注入で同時に取得し、精密質量から組成演算が可能である為、より詳細な高分子の化学構造情報を取得することが可能となる。

(4)講演:「特異な分解反応を利用する高分子の精密構造解析」

    ・名古屋工業大学大学院 工学研究科生命・応用化学専攻 教授 大谷 肇 氏

【概要】熱分解GC-MSに代表される熱分解分析法は、実用性の高い高分子材料解析手法として広く活用されているが、熱エネルギーのみでは分解反応の選択性や効率が十分に得られない場合がある。こうした場合に、有機アルカリ等の反応試薬共存下での反応熱分解GC-MSを用いることにより、縮合系高分子などの構造解析をしばしば容易に行うことができる。さらに、この手法を発展的に応用した、超臨界メタノール分解とマトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析法を組み合わせた、紫外線・電子線硬化樹脂の架橋ネットワーク解析についても紹介がなされた。

(5)閉会挨拶及び事務連絡

    ・公益財団法人三重県産業支援センター 主事 杉谷 和哉